営業の雑談ネタは「見えること」がコツ。苦手克服法

「わたしは営業の仕事をしているんですが、お客様と雑談するのが苦手です。特に、なにを話せば良いのか、雑談のネタをどうしたらいいか、いつも悩みます」

 

 

実は、これ、とても多くの方が同じように悩んでいます。

それは当然なのです。

なぜなら、「営業上の雑談は難しい」からです。

 

この記事では、営業をするときの雑談について少し掘り下げてお話します。

雑談の難しさや、どのように工夫すれば良いのか、について解説してみたいと思います。

 

 

 

「雑談」には、2種類ある

久しぶりに会った友達と、喫茶店でコーヒーでも飲みながら、無駄話をして一緒に過ごす。
そんな時の「雑談」に難しさを感じる人は、ほとんどいません。

 

A「お~、久しぶり! 最近どうよ どんな仕事してんだよ」
B「それがさぁ、仕事じゃないんだけどさ、こないだ事故っちゃってさー」
A「えー、まじかよ」
B「ついこないだまで、松葉杖だったんだってば」
A「それすごいな、そんなひどい事故だったの?」

 

この会話に遠慮や気がねはありません。

このように、だべだべと話をするのは、単なる雑談ですから簡単なことです。

 

つまり、「単なる雑談」なら簡単なのです。だから親とか友達との雑談なら誰でも出来ます。

この雑談には「目的」が無いのです。

 

 

しかし、「目的のある雑談」は簡単ではありません。

この「目的のある雑談」、それが、もうひとつの雑談であり、ビジネスで活用される雑談です。

 

 

雑談なのに「営業」という目的が加わると、急に難しくなってしまうのです。

 

さらに、相手が初対面の人だったり、年齢が自分とかけ離れていたりすると、ますます難しくなります。

ここで、「雑談が難しい理由」は、目的も含めて4つあります。

 

◆雑談が難しい4つの理由

 

  1. 目的のある雑談は難しい
    営業上の雑談には、「契約」や「商談成立」というゴール・目標があります。
    言いかえれば、
    「その雑談は、ゴール・目標に近づくことが出来ているか?(成功)」
    「その雑談は、ゴール・目標から遠ざかっていないか?(失敗)」
    と、評価されてしまうわけです。
    だからこそ、雑談が難しく感じるわけです。
  2. 読み取りにくい相手との雑談は難しい
    AさんとBさんとの雑談というのは、言語と非言語でなりたっています。
    言葉による雑談もありますが、表情やジェスチャー、視線などの「非言語」でも雑談は行われます。
    つまり、Aさんは常に、「Bさんの非言語メッセージの解読」をしながら雑談をしているのです。 相手が、いつもの友達や家族であれば、読み取るのは簡単です。しかし、初対面の相手や、年齢がかけ離れている相手や、職業によっては、「相手の非言語メッセージが読み取りにくい」という事もあります。
    そういう場合の雑談は、難しさを感じて当然なのです。
  3. 「効果と適切さ」の両方が求められるから難しい
    目的のある雑談というのは、その効果を計測されます。
    しかも、同時に「適切さ」も求められてしまうのです。
    適切さというのは、相手に失礼にならないように、「適切な雑談」であることが求められるのです。雑談の相手が、大事なお客さんだったり、社会的な成功者だったりすると、「失礼をしてはいけない・・・」と緊張感を抱くのもしかたありません。
  4. 雑談の経験が少ないから難しい
    自分が小学生や中学生の頃に、数多くの「雑談」の経験がある人なら良いのです。
    家が商売をしていたり、来客が多かったり、そういう家に育ったひとは、雑談の経験を豊富に持ちます。しかし、「見知らぬ人との対人関係を短期間に構築する」という経験が不足している人にとって、社会人になっていきなり「雑談しろ」と言われても難しさを感じて当然です。
    つまり、雑談が苦手だという人のなかには、単に経験不足という人もいるのです。

 

◆しかし、それでも雑談は大事・・・

 

それでも雑談は大事なのです。
例えば、依頼をしたり、説得をしたり、協力を仰いだり、買ってもらったり、売ってもらったり・・・仕事上の人間関係には、なにかの目的がある場合が少なくありません。
その目的を達成するためには、「雑談」は、とても大事なのです。

例えば、相手を説得したいとしましょう。
心理学の実験で、

●相手との共通点が多い人から説得された場合と、

●共通点がまったくない人から説得された場合の、

どちらが説得効果が高かったか?

 

この場合、もちろん相手との共通点が多い人のほうが、説得効果は高いわけです。
例えば、出身地が同じだったり、同じ年齢だったり、趣味が同じだったり、お互い犬好きだったり・・・、そうした共通点がある方が説得効果は高いわけです。

 

これは言いかえれば、「あなたと私には共通点が多い」というのが雑談で話あわれていないといけないという事になるのです。

 

こうしたことも、「雑談」の目的だったりするので、雑談は大切なのです。

 

 

◆この記事の執筆者プロフィール

株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役
佐藤 昌弘

経営コンサルタント、研修講師
京都大学経営管理大学院元講師、岐阜大学大学院元非常勤講師
愛知県出身、京都大学工学部卒。地元都市ガス会社を脱サラ後、住宅リフォーム会社を創業。3年で年商3億円に成長後バイアウト。2002年株式会社マーケティング・トルネード創業。年商数百万円の個人事業者から一部上場企業まで、中小企業を中心に、累計5000件以上のコンサルティングを実施。心理学を応用した独自の営業トーク研修は好評。
(著書)
凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク、シュガーマンのマーケティング30の法則(監訳)、最高の営業デビューなど、計28冊。
出版累計80万部を超える。

 

◆雑談とはなにか?

ここまでを少し整理してみましょう。

(1)雑談は、誰かと相対するとき、なにかの目標を達成するために行われます。
(2)雑談は、言葉を使ったり、身振りそぶり、視線、表情、紙や道具など、非言語も使われます。
(3)雑談は、相手の非言語メッセージを解読したり、一般常識、感情のコントロールなど、様々な能力を必要とします。
(4)雑談は、目標を達成するのに、「効果的であったか?」「適切であったか?」と評価されます。

 

そして、次のことも言えるのです。

 

(5)雑談は、他の誰かがやっている様子を観察することで、真似をして上達することが出来ます。
(6)雑談は、訓練すれば、誰だってある程度上達することが出来ます。

 

◆営業での雑談の目的

雑談の目的は何でしょうか?

いろいろな目的がありますが、最大の目的は、
「雑談が終わった後のプロセスをスムーズに進められること」です。

 

雑談が終わると、合意やヒアリングが始まっていきます。

つまり、ヒアリングがしやすい環境を作るのが、雑談の最大の目的だと言えます。

 

要望は?予算は?キーマンは?納期は?優先順位は?
ヒアリングしたいことは山ほどあります。

しかし、出会ってすぐに、いきなりヒアリングしても、急過ぎるのです。

 

◯呼吸を合わせ、会話のペースをあわせること

◯好印象を持ってもらうこと

◯緊張感をやわらげること

 

あえて、目的をあげれば、こうした事になると考えられます。

 

◆雑談のスタートのコツ

では、雑談をいよいよスタートさせましょう。
まずは視線についてです。

 

視線には3つあります。

相手と眼をあわせる。

すでに合っている視線をそらす。

相手がこちらを見ていることに気づいていながら眼をあわせず避ける。

 

いずれにしても、雑談は、相手の目線をつかむところからスタートするのが一般的です。

相手と視線をあわせて、そこから2秒以内に、あいさつからスタートしていくわけです。

 

 

◆雑談のネタはどうするか? よくある雑談ネタは危険でしかない

これは、あくまでも私の意見ですが、雑談のネタを準備していくのは危険だと思います。
よく一般的には、「天気や季節」「趣味」、「出身地」などを、雑談ネタにすると良いと言われています。

 

他にも、「裏木戸に立てかけし衣食住」という言葉も有名ですが、わたしはお勧めしていません。

 

裏 裏話・秘密の話

木 気候や季節の話
戸 道楽(趣味)の話
に ニュースの話
立 旅の話
て 天気の話
か 家族の話
け 健康の話
し 仕事の話
衣 ファッションの話
食 食べ物の話
住 住まいの話

 

上記のネタが雑談には向いているから、そうやって覚えると良いというわけです。
これが駄目だとか、悪いとは言いません。

ニュースレターや、メールマガジン、ブログなど、既存客とのコミュニケーションに使ったりすると文章が読みやすくなったりはします。

 

しかし、対面での雑談で使うのは、私はおすすめしません。

なぜなら、もっと良いネタが目の前にある事が多いからです。

 

雑談のネタは、目で探すのがいい

雑談のネタは、目で観察して探すのが一番なのです。

 

とにかく相手や、周りをよく見てほしいのです。
相手の会社や、相手の人がなにに関心を持っているかは、すでに相手から漏れ出ているからです。

 

相手の会社へ向かう最中に、事務所がすごく便利な場所にあることが「地図を見ていて気づいた」のなら、

「すごい便利な場所にあっていいですねー」と雑談に入ればいいのです。

 

相手の会社の社員さんが、朝一番から忙しくしているようなら、

「朝からとっても忙しそうにされてるように見えます。なにかあるんですか?」と雑談に入る。

 

相手が持っている文房具が、おしゃれなものを持っているのが目に入れば、

「すごいおしゃれな感じですね、どこのなんですか?」と雑談に入ればいいのです。

 

時々、相手が女性であるときに、

Aさん「あ、お腹が大きいんですね、おめでたですか?」

相手 「いえ、太ってるだけです。すいません」

と地雷を踏んで自爆するひとがいますが、相手の外見上の特徴をいじるときは、コンプレックスであることもあるので慎重にお願いします。

 

とにかく、雑談のネタを探すコツは「見えること」にアンテナを立てると良いのです。

会社の外観とか、内装とか、絵とか、照明とか、スタッフが働く様子とか・・・なんでも良いので「見えること」をネタに雑談に入ろうとしてみてほしいのです。

 

 

◆目に見えることって、他に例えばなに?

雑談のネタで安全なのは、目に見えることを雑談化することだとお伝えしましたが、具体的になにがあるでしょうか?

 

目に見えることは、いろいろありますが、例えば次のようなものです。

 

(1)身体動作:相手の身振り、姿勢、表情、視線、目の動き
(2)空間: 相手との距離、着席位置、混み合っている様子など
(3)人工物: 相手の服装、ユニフォーム、展示品、装飾品など
(4)環境: 建築物,インテリア,照明,看板、ポスターなど

 

 

◆開く合いの手、閉じる合いの手を活用する

こうして雑談話が始まれば、あとはもう一息です。

ところが、せっかく雑談がはじまったのに、すぐに話が終わってしまう人がいます。
それは、合いの手のスキルが足らないのが理由であることが多いようです。

 

合いの手には、「開く合いの手」と、「閉じる合いの手」があります。

それを活用できるように練習してみてください。

 

開く合いの手というのは、話が広がっていく合いの手です。

例えば、「佐藤さんの話は、むずかしいですよね」と言われたとします。
その場合、「そうですかー。どういった点に難しさを感じたですか?」と話を開いていくことが出来ます。

反対に、閉じる合いの手は、「そうですかー。難しい部分もありますねー」と話を閉じてしまうのです。

 

どうでしょうか?

雑談が続かないという人には、他にも、いろんなスキルがあるのですが、

まずは、こうした「開く合いの手」と「閉じる合いの手」を、

意識して使い分けてみると良いかも知れません。

 

◆雑談をする時の注意

時々、雑談慣れをしているからなのか、雑談から失敗してしまっている人を見かけます。

いろんな失敗があると思いますが、2つ挙げます。

 

  • 必要以上にオウム返しをしない
    顧客が口にした単語を繰り返して言うのをオウム返しと言います。
    顧客「ここに困ってるんですよ・・・」
    営業「困ってるんですね」
    顧客「すごく難しい判断で・・・」
    営業「あぁ、難しい判断です」
    こういう風に繰り返すわけです。相手の話を聞いてますよという意思表示のつもりでしょうが、過度にやると、顧客は馬鹿にされているのかと嫌な感じがします。
    適度さがわからない人は、あまり使わないほうが良い手法です。

 

  • うなづき過ぎない
    これも、顧客との会話のときに、うなづき過ぎる営業さんがいます。
    顔が縦にうごきまくるので、時々、酔いそうになります。
    じっと相手の目を見続けるのも変ですが、うなづくのも、適度にしましょう。

 

◆雑談は練習でうまくなる

最初はうまくできないかも知れませんが、スキルというのは、少しの練習という苦行を乗り越えないといけないものです。ぜひ頑張ってください。

雑談は、他の誰かがやっている様子を観察することで、真似をして上達することが出来ます。
それに、雑談は、訓練すれば、誰だってある程度上達することが出来るのです。

 

雑談って、簡単じゃないですよね。

参考にして頂ければ幸いです。

 

 

 

なお、定期的に、記事をアップデートしますので、また読みに来て下さいね。

 

 

 

株式会社マーケティング・トルネード佐藤より

 

 

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執筆:株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役 佐藤昌弘

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