共感の時代へ 読書メモ

共感の時代へ―動物行動学が教えてくれること

読書メモ

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下記のわたしのメモは、私が主観的にピックアップしたものであって、著者が伝えたい意図をそのまま伝えているわけではありません。

私が共感した部分だけであり、私、というフィルターがかかったメモであることを、強調しておきます。

 


 

◆人間とは集団性の動物である。非常に協力的で、不公平に敏感で、好戦的でもあるが、たいていは平和を求める。

◆サルを観察していればわかるが、利己的な態度は必ず生じる。しかし、所有と分配の両方も、必ず行われている。

◆『自然は、生存のための闘争が基本』という意見は嘘である。多くの動物は相手を蹴落としたり何でも独り占めしたりするのではなく、協力したり分けあったりすることで生き延びる。それが真実。

◆つまり、「生存のための闘争が基本」とか、「弱肉強食」とか、自然界では絶え間ない闘争が繰り広げられていると思い込んで、それを前提にして、人間社会を設計したら間違いを犯す。

 

◆配偶者を失った人は、その後の半年間、死亡率が高くなる。女性より男性のほうが、その傾向が強い。

◆哺乳類は、授乳という面からいって、母親が子供の世話をせざるを得ない動物である。当然ながら、だからこそ、母親との絆を結ぶことが生存上、途方もない価値を持つ。わけても重要なのが母子の間である。

 

◆収入なんて一定の水準を超えたら、物質的豊かさの有用性は驚くほど小さい。我々は、金銭や成功や名声ではなく、家族や友人と過ごす時間が何よりも重要である。

◆危険が迫ると、反目し合うライバル同士でさえ、手を組もうとする。つまり、我々が社会生活を営むのは、第一に「安全」を求めるのが理由である。安全こそが群れる目的だと考えるべき。

 

◆我々の祖先は資源が乏しく依存しあっていた。大規模な戦争は、農業によって富を蓄積し始めてから起きるようになった。その富のおかげで、他の集団を攻撃するメリットが増えてしまったからだ。戦争は我々の生まれつきの攻撃的な本能ではなく、権力や利益の追求に関わるものに見える。

 

◆スペンサー(19世紀)は、「適者生存」という言葉を作った。ビジネス界は、この言葉、このコンセプトに飛びついた。能力主義の社会を好ましいものと肯定したかったから。

そして、「本当は自分の富を分け与えるべきなのではないか?」そう誰もが心の奥底で感じているのに、しかし、気乗りしない。そんな心境でいるところに、「後ろを振り返らずに成功への階段を登っていくのは非の打ち所のないことなのだ」と聞いて、都合よく、大喜びした。スペンサーは、金持ちが感じていた良心の疼きをそっくり取り除いてしまったのである。

 

◆同じく、ランドは、成功には道徳的義務が伴うという考え方をあざけり、エゴイズムは悪徳ではなく、美徳だというメッセージを発信した。金持ち達は、それを都合よく持ち上げた。それによって、なん百万者熱狂的な読者の心を捉えた。善悪をそっくりひっくり返してしまった。

 

◆我々には同調性がある。あくびが伝染するのは、同調性があるからだ。だから自閉症の子供は他者のあくびに影響を受けないと言われている。

◆学びには、本物の人間がやっている姿が必要。蓋が開くとなかに食べ物があるという箱を、自動的にメカニズムだけ動き出すものを準備しても、チンパンジーは覚えない。しかし、別のチンパンジーが開けている様子を見るとすぐにやり方を覚える。しかも、同調行動をすればするほど、その2人は絆を結ぶ効果がある。だから恋人たちは初めてあうと、同じ動きをするのである。
また、「かしこまりました」というだけのウェイトレスよりも、「オニオン抜きのサラダですね」というように、客の注文を復唱するウェイトレスのほうがチップを倍もらえることがわかっている。人は自分の模倣者が大好きになるのだ。

◆つなわたりを見ている私たちは、その曲芸師の身体のなかに自分が入り込んだような気分になり、そうなることで、彼の経験しているものを共有している。だからハラハラするのだ。この能力は、学習や連想などの他のどんな能力でも補えない。

 

◆生命科学によれば、人生とは、安全と社会的親交と満腹感に尽きる。

 

◆良く知っている人が怪我をして痛がっている様子と、全然知らない人が痛みを感じている様子を見ると、知らない人のときのほうが感受性が鈍ることがわかっている。

◆性差というのはある。直前に協力した相手が苦しんでいるのを目にすると、脳内の痛みに関わる領域が活性化する。しかし、不正な好意をした相手に対して痛みを与えて、それを被験者にみせると、脳の喜びの中枢が活性化する。他社の苦難を面白がっているのである。しかし、他人の不幸を喜ぶ気持ちは男性にしか起きない。女性は共感を示す。これは哺乳類に普遍的な可能性も十分あると言われる。

 

◆人間の赤ん坊は、1歳半から2歳にならないと、鏡に写った自分がわからない。自己認識が出るのはその頃。自己認識が出ると他人への気遣いも生まれる。

◆鏡に映る自分を理解できることを、自己鏡像を認知できるというが、そういう哺乳類はすべてVEN細胞を持っている。これがないと、視点取得、共感、決まり悪さ、ユーモア、未来志向性などが喪失される。自己認識も欠ける。人間と類人猿、さらにいるか、クジラ、ゾウにもあることがわかってる。

 

◆人間は利己的な足と、社会的な足の2本の足で歩く。

◆リーダーにとって、もっともしてはいけないこと。部下を人前で笑いものにしてはいけない。富の再分配を怠る。部外者を自分の都合良く利用する。部下の家畜を横取りしてはいけない。

 

◆脳の中では、お金のことを考えている時は、性的なイメージを見たときと同じ領域が刺激されている。つまり、自動車や腕時計といったこうかな品物と魅力的な女性を組み合わせるのは効果的であるといえる。セックスと強欲のつながりは太古からのもの。男性が女性を惹きつけるために養い手あるいは資源の収集者としての役割を手にしたときからのことである。

 

なるほど。動物行動学って、おもしろい。

もう少し掘り下げてみたい。

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