周辺視野と広告デザイン

ずいぶん昔の論文なんだけど、面白い図なので紹介。

 

この論文は、1974年に発表された。50年以上も前。

人の、網膜上の位置によって視力がどう変わるかを調べた研究である。

 

下記の図は、心理学者スチュアート・アンスティス(Stuart Anstis)さんが1974年に発表したAnstisの文字チャート(アンスティスの視力表 / 周辺視野の解像度チャート)」と呼ばれるもの。

 

人間の目は、視線の中心では細かいものまで見分けられる。
ところが中心から離れるほど、細かいものを識別する能力は落ちていく。

まあ、ここまでは感覚的にもわかる。

面白いのは、それを「文字の大きさ」で表現した図だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この図は、真ん中をじっと見たままでも、その周辺の文字がだいたい同じくらい読みやすくなるように作られている。

 

中心に近い文字は小さい。
外側へ行くほど、文字がどんどん大きくなる。

つまり、人間の目からすると、これくらい大げさにサイズを変えて、ようやく「同じくらい」なのである。

これを見た瞬間、

「ああ、デザインって、これも大事だよな」

と思った。

人間の注意と視認性をデザイン的に配分すること。

だから、広告でもSNSでもWebサイトでも、「全部同じように見せる」というデザインは無理がある。

最初に何を見てもらうのか。
そこから次に何を見てもらうのか。
さらに興味を持った人には何を見てもらうのか。

そういう順番が必要になる。

 

そして、この論文にはもう一枚、さらに面白い図がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきより文字が増えている。

さっきのは40文字。こっちは72文字。

読みにくい、ということがわかる。

情報量は増やせば良いってことではないことがわかる。

 

論文では、文字が密集すると隣り合う文字同士が邪魔をして、識別しにくくなる現象について触れられている。
単純に「文字が小さいから読めない」という話ではない。

 

これも広告やWebサイトを考えると、実に面白い。
伝えたいことが多いとき、情報を足す。

商品の特徴を足す。
説明を足す。
アイコンを足す。
写真を足す。
キャンペーンを足す。
ボタンを足す。

一つひとつには、ちゃんと足したいという理由がある。

 

ところが、足せば足すほど、一つひとつが見えなくなることがある。

目立たせたいなら、大きくする。
これは誰でも考える。

でも、この二つの図を並べて見ると、もう一つありそうだ。

目立たせたいなら、周りを減らす。

こっちのほうが、案外大事なのかもしれない。

 

広告デザインでも、SNSの画像でも、Webサイトでも、この図は頭の片隅に置いておいてよさそう。

 

 

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