クロージングって、まだ必要なんだろうか?
営業の「クロージング」という言葉が、ふと気になって調べたことがあります。
日本語のWikipediaを見てみると、営業におけるクロージングについては、ほとんど説明がありません。
そもそもWikipedia界隈では、興味・関心を持たれる用語じゃない、という事です。
ところが英語版を見ると、ある。
面白いこと書いてあるかなぁ、と思いながら読んでみると、昔ながらのクロージング技法が、ずらっと出てきます。
たとえば、
◆二者択一法:「買うか」ではなく「どっちを買うか」を聞く方法
「赤と青なら、どちらがいいですか?」
買うか買わないかではなく、買うことを前提に色を選ばせるということですね。
◆仮定
「ではクレジットカードをお預かりして、書類を作りますね」
まだ買うとは言っていないのに、買う前提で話を進めてしまう。買うことが決まっているかのような前提で進めてしまう手法です。
◆損失アピール
「今日決めないと、この条件では買えなくなるかもしれません」
損するよ、と脅す手法とも言えます。
その他、
◆バランスシート書き出し技法: メリット・デメリットを書き出す
◆Cradle to grave :「買うのに完璧な時期なんてないですよ」と押す
◆マイナーポイント: 小さな選択をさせ、購入前提を作る
◆否定的仮定: 「買わない理由はありますか?」と聞く
◆Sales contest :特典+営業側の事情を示して決断を促す
などなど・・・。
読んでいて、なんだか懐かしい感じがしました。
昔の営業研修とかで、よく聞いたような話です。
正直なところ、
「これ、だいぶ賞味期限が切れてる手法だよなぁ」
とも感じました。
でも、それと同時に、そうとも言えない部分もあるな、と感じています。
今でもこういうクロージングが有効であることもあるからです。
なぜなら、お客さんの中には、
「専門家に背中を押してほしい」
と思っている人もいるからなんです。
散々悩んで、ほぼ買う気になっている。でも最後の決断だけができない・・・。
そんなお客さんに、
「大丈夫ですよ。これでいきましょう」
と営業が一押しする。それで決められることもあるんです。
反対に、自分で決めたい人だっています。
材料を全部並べてもらったら、あとは自分で考えたい。いつものように決めたい。
そういう人を相手に、グイグイいき過ぎれば、「あ、いま俺、クロージングされてるな・・・」と気づかれます。クロージング技法が見えた瞬間、説得力より警戒心が立ち上がっていきます。
問題は、押すか、押さないかではないのだと思うんです。
このお客さんは、いま押してほしいお客さんなのか。自分で決めたいお客さんなのか。
そこが見えているかどうか。
昔のクロージング技法を読んでいて感じたのは、クロージングを商談の「最後の技術」と考えること自体が、ちょっと違うんじゃないか、ということです。
最後の最後になって、
「さて、どうやって最後に契約を取ろう?」
と考える。それでは遅い。
その前に、お客さんの価値観を聞けているか。
何を基準に判断する人なのか。
どのくらい知識を持っているのか。
どんな事情があるのか。
本人以外に、意思決定に関わる人はいないのか。
そういうことがヒアリングできていれば、こちらのアピールも変わります。
アクセルを踏むべきなのか、ブレーキをオフにするべきなのか、クロージングはやめるべきか・・・。
ヒアリングや提案までが、しっかり進んでいれば、最後に突然「クロージング」という必殺技を繰り出す必要は、かなり減るはずなんです。
「では、どうされますか?」
で済む商談も多いはずです。
わたしが営業のシナリオ展開を大事にしているのも、たぶんここにつながっているのかな、と思います。
現代の営業においてクロージングは、営業の流れの最後だけにポンと出てくる「契約を取る技術」では無くなったんだと思います。
シナリオ展開の結果として出てくるものなんだと思う。
もちろん、昔のクロージング技法が全部ダメになったわけではない。
最後に押すこともあります。
押したほうがいいお客さんなら、押すのが大事だからです。
