就職活動というのは、無茶な要求だよな、と思います。
ちゃんと働いたこともないのに、
「どこで働きたいですか?」
と聞かれるんです。
世の中にどんな仕事があるのかも、よく知らない。
実際に働くという事がどういうことなのかも、よく分かっていない。
どのように仕事を選べば良いのかも、学んでいない。
それまで部活をやったり、友達と遊んだり、恋愛したり、趣味に熱中したりしてきて、仕事そのものについて真剣に考える機会なんて、それほどなかったはずです。
ところが、ある日突然、就職活動は始まってしまいます。
そして、ほんの数ヶ月で、これから先の人生にかなり大きな影響を与える選択をしろと迫られます。
そりゃ難しいはずです。
分からないから、人に聞きます。
お父さん、お母さん、学校の先生、先輩・・・。
もちろん、いろいろ教えてくれると思います。
しかし、考えてみれば、お父さんもお母さんも仕事選びのプロではありません。
学校の先生だって、就職活動の専門家とは限らない。
先輩も、自分自身が迷いながら、バンジージャンプから飛び降りるような気持ちで、1回か2回の就職・転職活動をしただけかもしれません。
じゃあ、どうやって選べばいいんでしょうか?
これ、お子さんが就活してらっしゃるクライアントさんから、実際によく聞かれる質問なんです。
ひとことで結論をまとめると・・・
伸びる場所に身を置き、自分の持ち味が多少なりとも使えて、成長でき、たとえ選択を間違えても次の選択肢が増える会社を選ぶ。
これです。
1.市場・業界を選ぶ
まず「業界」選びです。これはけっこう大事だと思っています。
同じくらい能力があって、同じくらい一生懸命働いても、どの業界にいるかによって金銭的な報われ方はかなり違うからです。
例えば同じ能力の営業マンであっても、
・成長している業界
・1人あたりが生み出せる経済価値の大きい業界
のほうが、給料ははるかに高い傾向があります。
向いている、向いていないは、努力や工夫である程度なんとかできます。
それに、若いうちは特に、追い風のある場所を選ぶのが有利だと思います。
2.次が「会社」です。
伸びている業界に入れば、それで万事OKというわけでもありません。
伸びている業界の中にも、沈んでいく会社はあります。
反対に、衰退している業界の中にも、ピッカピカの会社はあります。
会社選びはいろんな要素があるから難しいですが、
・儲かっているか?その儲け方は5年後も有効か?
・儲けた利益は、どう活用する会社か? 社員に還元?設備投資?研究開発?経営者の給与アップ?会社で貯金?
・5年働いたら、自分はどうなれるか?
(どんな経験できそう?誰と仕事することになる?何を任せてもらえる?どんな能力が身につく?辞めた人はその後どこで活躍してる?)
3.どんな「仕事」をすることになるか
仕事を選ぶにあたって、私は、「やりたい仕事は何ですか?」をあまり真剣に考えすぎなくてもいいんじゃないかと思っています。
だって、やったことがないんだから。わかるわけないです。
それよりも、20代後半までに、その会社に入ると何を経験でき、何ができる人間になるのかを重視したほうがいいと思います。
どんな仕事の経験を積み、どんな人達と知り合いになり、どんな世界を見てきたか、そっちのほうが大事だと思います。
初任給はめっちゃ大事ですけれど、それを重視したい気持ちはよく分かるんですけど、それでも、20代前半なら、初任給の年収数十万円の差より、5年後にどんな能力・実績・人脈を持っているかの差のほうが、その後に効いてくると思います。
4.自分を客観視する
簡単に言えば、「自分の中に、他人より有利に戦える材料が何かないか探す」ということです。
就活では「自己分析をしましょう」と言われます。自分は何が好きなのか。何が得意なのか。どんな性格なのか。
もちろん、それも良いと思います。
でも私なら、もう少し生々しく考えます。
「自分は、何を持っているのか?」です。
例えば、実家が商売をしていて、小さい頃から経営者の会話を聞いて育った。
親族に医療関係者が多くて、医療の世界なら普通の学生よりずっと慣れ親しんでいる。
学生時代にあるスポーツをずっとやっていて、その業界には知り合いがたくさんいる。
帰国子女で、英語だけではなく、その国の人の考え方までなんとなく分かる。
何年もひとつのことを続けていて、普通の人よりずっと詳しい・・・とか。
そういうものです。
本人にとっては、生まれたときから親しんでるので、たいしたものには見えないかも知れないんだけど、でも、他人は持っていないんですよ。
私は、そういうものを「自分の持ち味のタネ」だと思います。
育てる価値は十分にあります。
別に立派なものである必要はありません。
重要なのは、
「この持ち味は、どこへ持っていくと一番高く売れるかな?」
と考えることです。
自分の持ち味がほとんど役に立たない会社もあれば、「それ、うちではものすごく役に立つよ」という会社もあるからです。
5.間違えたときに、やり直せるか
間違える前提かよ、と突っ込まれるかも知れないけど、そうです。
そもそも、20代前半で「一生の方向性を決めなければ」と考えるから、就活がものすごく難しくなるんです。
確かに、実際には、最初の会社は重要ではあるけれど、人生を決定してしまうものではありません。
だから会社選びでは、
ハズレだったときのことも考えておくんです。
たとえば、その会社で3年働けば他社でも通用する能力が身につく、業界をまたいで使えるスキルがつく、優秀な人との人脈ができる、次の選択肢が増える・・・そういう会社なら、仮に「思ってた会社と違った」とか、「思っていた仕事と違った」となっても致命傷になりにくいと思います。
入社したときよりも、転職するときのほうが選択肢が増えていることが大事です。
結局、まとめると、
伸びる場所に身を置き、自分の持ち味が多少なりとも使えて、成長でき、たとえ選択を間違えても次の選択肢が増える会社を選ぶ。
ということだと思います。
まあ、最初に就職した会社が正解だったかどうかなんて、たぶん、入ってみないと分かりません。
下手すると、入ってみても、わからないかも知れないです。
業界を調べて、会社を調べて、自分の持ち味も考えて・・・。
それでも、間違えることはありますよ。そりゃ仕方ない。
考えてもみてください。
ちゃんと働いたこともない20代の若モンに、
「さあ、これからの人生を決めてください」
というほうが無茶だろって話です。
だから、最初から正解を当てられなくてもいいと思います。
大事なのは、選んだ会社でちゃんと働いて、いろんなものを見て、いろんな人に会って、自分のできることを少しずつ増やしていけることです。
そうすれば、たとえ最初の選択が正解じゃなかったとしても、次に選ぶときには、最初の就職のときより少し上手に選べます。
その次の転職のときは、もっと上手に選べます。
今の時代の仕事って、そうやって選んでいくものなのかもしれません。
少なくとも私は、20代のときより今のほうが、ずっと上手に仕事を選べます。
まあ、今さら就職活動なんてしないけどねー。
